【聴覚障害】職場のコミュニケーション完全ガイド|悩み解決の5つの工夫と合理的配慮

B型事業所の利用者さん

聞こえにくいことで、周りから無視していると誤解されないか不安…。

会議や朝礼で、みんなの話が聞き取れなくて、内容についていけない時がある…。

自分の障害のことや、どんな手伝いが必要なのか、どう説明すれば分かってもらえるんだろう?

職場で働く上で、コミュニケーションは欠かせない要素です。

しかし、聴覚に障害のある方にとって、この「当たり前」のコミュニケーションが、時として大きな壁となってしまうことがあります。

「聞き返すのが申し訳ない」「どうせ聞こえないだろうと話しかけられなくなった」そんな経験から、仕事に自信をなくしていませんか?

この記事を読めば、こんなことが分かります

  1. 聴覚障害のある方が職場で抱えやすいコミュニケーションの悩み
  2. 今日から実践できる、コミュニケーションを円滑にする5つの工夫
  3. 会社に求めることができる「合理的配慮」の具体的な内容
  4. 仕事で役立つ便利なコミュニケーションツールやアプリ

この記事では、就労継続支援B型事業所などで働く聴覚障害のある方が、職場のコミュニケーションの悩みを解消し、自信を持って仕事に取り組むための具体的な方法を、分かりやすく解説します。

就労継続支援B型事業所とは?

就労継続支援B型事業所


就労継続支援B型(以下B型事業所)は、障害者総合支援法に基づく福祉サービスの一環として運営されています。

身体的または精神的な障害、難病により一般企業での雇用が難しい方に対して、働く場所や機会を提供する施設です。

これにより、利用者は自分の能力や体調に合わせて無理なく作業を行いながら、社会参加やスキルの向上を目指せます。

一般企業での雇用が難しい方に対し、「無理のない働き方」で社会参加やスキルアップを支援します。

雇用契約なしで働くことができ、自分のペースで作業が可能です。

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障害者総合支援法とは? 目的やサービス、2024年の改正までわかりやすく解説(参考文献:ジョブメドレー)

就労継続支援B型とは?制度の仕組みから利用方法まで分かりやすく解説

聴覚障害のある方が職場で抱えるコミュニケーションの壁

話が聞き取れず、困った表情を浮かべている人物のイラスト

聴覚障害と一言でいっても、その聞こえ方や困りごとは一人ひとり全く違います。

「音が小さく聞こえる」だけでなく、「言葉が歪んで聞こえる」「騒がしい場所では全く聞き取れない」など、様々な状況があります。

この特性が、職場で思わぬコミュニケーションの壁を生んでしまうことがあります。

会議・朝礼複数の人が話すと誰が話しているか、内容が追えない。マスクで口元が見えず、聞き取れない。
電話応対相手の声が聞き取れず、用件を正確に把握するのが難しい。
雑談・指示騒がしい場所や、後ろから話しかけられると気づかない、聞き取れない。それが原因で「無視された」と誤解されることがある。
緊急時構内放送やアラームなどの音による情報が分からない。
職場で起こりやすいコミュニケーションの課題

こうした困りごとを抱えながらも、「何度も聞き返すのは申し訳ない」と感じて分かったふりをしてしまったり、コミュニケーションそのものに消極的になってしまったりするケースは少なくありません。

大切なのは、一人で抱え込まず、適切な工夫と周りの理解を得ていくことです。

参考リンク(外部):感音性難聴を持つ方に向いている仕事8選と就職・転職成功のコツ|キズキビジネスカレッジ

【自分でできる工夫】コミュニケーションを円滑にする5つの基本戦略

職場の同僚とメモ帳を使って筆談し、笑顔でコミュニケーションをとっている様子

職場の理解を得るためには、まず自分から働きかけることが大切です。

ここでは、今日から実践できる5つの基本的な工夫を紹介します。

これらを意識するだけで、コミュニケーションはずっとスムーズになります。

1. 自分の「聞こえ方」を具体的に伝える

ただ「耳が聞こえにくいです」と伝えるだけでは、相手はどう配慮すれば良いか分かりません。

「障害等級〇級です」と伝えるよりも、「騒がしい場所では聞き取りにくいです」「マスクをしていると口元が見えず分かりづらいです」のように、どんな状況で、どのように困るのかを具体的に伝えることが重要です。

そうすることで、周りも的確なサポートがしやすくなります。

2. 「わからない」とはっきり意思表示する

曖昧なまま返事をしてしまうと、後で「言った・言わない」のトラブルになりかねません。

聞き取れなかった時は、勇気を出して「すみません、もう一度お願いします」「書いていただけますか?」とはっきり伝えましょう。

分かったふりをしないことが、結果的に信頼につながります。

3. 筆談やITツールを積極的に活用する

口頭でのやり取りに固執せず、筆談やITツールを積極的に活用しましょう。

スマートフォンのメモ機能や、チャットツール(Slack、LINE WORKSなど)、音声文字変換アプリなどは非常に有効です。

特に、正確さが求められる指示や数字の確認は、文字で残すことでミスを防げます。

4. 補聴器や集音器について説明しておく

補聴器や集音器を使っていても、「つければ完璧に聞こえる」わけではないことを理解してもらうことが大切です。

「補聴器をつけていますが、全ての音が大きくなるので、騒がしい場所はかえって聞き取りにくいです」のように、機器の特性と限界を伝えておくと、無用な誤解を避けられます。

5. ポジティブな姿勢を見せる

障害について説明する際は、「ご迷惑をおかけしますが…」と卑下するのではなく、「このように配慮していただけると、もっと力を発揮できます!」というように、課題と解決策をセットで、前向きに伝えることが大切です。

あなたの仕事への意欲が伝われば、周りも喜んで協力してくれるはずです。

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【聴覚障害者向け】履歴書の書き方と面接での受け答えのポイント|atGP

【会社に求める配慮】知っておきたい「合理的配慮」の具体例

聴覚障害のある従業員と上司が、合理的配慮について話し合っているイラスト。

障害のある方が職場で働くにあたり、事業主(会社)には「合理的配慮」を提供することが法律で義務付けられています。

これは、障害のある方が他の人と同じように働く権利を守るためのルールです。

決して「特別な要求」や「わがまま」ではないので、必要な配慮は遠慮なく相談しましょう。

厚生労働省が示す事例集などを参考に、聴覚障害のある方への具体的な合理的配慮の例を以下にまとめます。

合理的配慮・・障がいや病気がある方が困らないように、できることを工夫して助けること

聴覚障害のある方への合理的配慮の例

  • 業務指示や連絡
    →口頭だけでなく、筆談やメール、ビジネスチャットなど文字で伝える。
  • 会議や研修
    →発言者の近くに席を配置する。資料を事前に配布する。音声文字変換アプリや要約筆記者、手話通訳者を配置する。
  • 電話応対
    →電話応対をしなくても良い業務に配置転換する。電話の内容を他の人がメモで伝える。
  • 職場環境
    →緊急時のために、音のなる警報器と合わせて光で知らせる回転灯(パトランプ)などを設置する。
  • 周りの従業員への周知
    →上司や同僚に障害特性を説明し、必要な配慮(「正面から話しかける」「口元が見えるようにする」など)について理解を求める。

これらの配慮は、会社にとって過重な負担にならない範囲で提供されます。どんな配慮が必要かは、あなたと会社が話し合って決めていくことが大切です。

参考リンク(外部)聴覚・言語障害のある方について(合理的配慮の提供) | 障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイトー内閣府

コミュニケーションを助ける便利なアプリ&ツール9選

AI音声認識文字起こし

近年、テクノロジーの進化により、聴覚障害のある方のコミュニケーションを助ける便利なツールがたくさん登場しています。

これらを活用することで、職場での「聞こえない」ストレスを大幅に軽減できます。

ツール名な用途
AIボイスメモPLAUD NOTE会議や通話を録音し、AIが自動で文字起こしや要約を作成する。
音声文字変換UDトーク、Speechy会議や会話の内容をリアルタイムで文字にする。
ビジネスチャットSlack業務連絡や報告・相談を文字で正確に行う。
筆談ツールデジタルメモ帳、ホワイトボードとっさの会話や図での説明に使う。
コミュニケーションボード指差し会話シート定型的な質問や回答を指差しで伝える。
通知ツールスマートウォッチ、光目覚ましアラームや着信を振動や光で知らせる。
コミュニケーションを助ける便利なアプリ&ツール9選

特に「UDトーク」のような音声文字変換アプリは、会議や研修の場で非常に強力な味方になります。

自分に合ったツールを見つけ、使い方をマスターすることで、情報保障のレベルを格段に上げることができます。

会社に合理的配慮をお願いしたら、わがままだと思われないでしょうか?

合理的配慮は、障害者差別解消法で定められた事業主の義務であり、労働者の正当な権利です。わがままではありません。大切なのは伝え方です。「こうしてもらわないと困る」ではなく、「こうしていただけると、もっとスムーズに仕事ができます」と、会社にとってもメリットがある形で提案してみましょう。

周りの同僚に、何度も聞き返すのが気まずいです。

気持ちはよく分かります。何度も口頭で繰り返してもらう代わりに、「チャットで送ってもらえますか?」 や 「メモに書いていただけますか?」と、別の方法をお願いするのがおすすめです。相手にとってもその方が確実で、手間が省ける場合もあります。「聞き返す」から「別の方法で伝えてもらう」へ切り替えてみましょう。

聴覚障害があると、どんな仕事に向いていますか?

電話応対や接客が少なく、静かな環境で集中できる仕事が向いていると一般的に言われています。例えば、データ入力、プログラマー、Webデザイナー、軽作業、清掃などが挙げられます。しかし、適切な配慮やツールがあれば、様々な仕事に挑戦することが可能です。まずは自分の得意なこと、好きなことを軸に考えてみましょう。

音声文字変換アプリなどを会社で使いたい場合、どうすればいいですか?

まずは上司や担当部署に相談しましょう。「会議の内容を正確に把握するために、このようなツールの利用を検討いただけないでしょうか」と、業務効率化の観点から提案するのがおすすめです。無料のアプリから試してみたり、会社で導入しているチャットツールに連携できるか確認したりするのも良い方法です。必要な場合は、合理的配慮の一環として会社に導入を求めることもできます。

障害のことを、どこまでの範囲の人に伝えるべきですか?

どこまで伝えるかは、あなた自身の判断で決めることができます。最低限、直接業務で関わる上司やチームメンバーには、必要な配慮を伝えるのがスムーズです。伝える際は、障害名だけでなく「こういう場面で困るので、こうしてほしい」と具体的に伝えましょう。無理に全員に話す必要はありません。まずは信頼できる人から相談してみるのが良いでしょう。

まとめ:工夫と配慮で、コミュニケーションの壁は乗り越えられる

壁を乗り越える様子のイラスト

今回は、聴覚障害のある方が職場で直面するコミュニケーションの課題と、その解決策について解説しました。

  • 自分の聞こえ方を具体的に伝えることが、理解の第一歩。
  • 筆談やアプリを積極的に活用し、コミュニケーション手段を増やす。
  • 必要な配慮を求めることは「合理的配慮」という正当な権利
  • 伝え方を工夫し、課題と解決策をセットで前向きに話すことが大切。

コミュニケーションの壁は、一人で乗り越えるものではありません。

あなた自身のちょっとした工夫と、職場の理解・協力という両輪があってこそ、乗り越えることができます。

大切なのは、諦めずに伝え続けることです。

就労継続支援B型事業所の支援員の男性と女性

就労継続支援B型事業所「ふじのもり笑店」では、利用者さん一人ひとりの障害特性に合わせたコミュニケーション方法を一緒に考え、職場との橋渡しをサポートしています。

もしあなたが職場のコミュニケーションで悩んでいるなら、ぜひ一度ご相談ください。一緒に、あなたが安心して働ける環境を作っていきましょう。

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京都市の就労継続支援B型事業所

就労継続支援B型事業所一覧 – 障がい者就労支援情報~全国版~

ふじのもり笑店のロゴマーク

京都市伏見区にお住まいの皆様へ。

就労継続支援B型事業所「ふじのもり笑店」は、「自分らしく働きたい」という気持ちを大切にする、あなたのための場所です。

就労継続支援の制度や特徴はもちろん、利用の対象となる方、そして利用にあたっての疑問など、皆様にとって役立つ情報を丁寧にご紹介しております。

「まずは少しずつ」「自分のペースで続けたい」

そんな思いをお持ちの京都市伏見区の皆様にも、安心して通っていただける温かい環境をご用意しています。利用者様一人ひとりの「やってみたい」を尊重し、それぞれのペースに合わせた働き方をサポートいたします。

対象となる方について

京都市伏見区にお住まいで、知的障害、精神障害、身体障害、発達障害などをお持ちの方で、一般企業での就労に不安がある方、または就労移行支援事業などを利用したが就労に結びつかなかった方などが対象となります。

対象となる方について

お仕事内容について

京都市伏見区の「ふじのもり笑店」では、利用者様の多様なニーズに合わせて、パソコンやスマートフォンを使った様々なお仕事をご用意しています。ご自身のスキルや興味に合わせて、無理なく取り組める作業がきっと見つかります。

お仕事内容のご紹介

在宅ワークも可能!

お仕事内容によっては、ご自宅にいながら働く「在宅ワーク」も可能です。

通所が難しい方でも、社会との繋がりを持ちながら、ご自身のペースで働くことができます。


※当事業所では内職の在宅は行っておりません。

「もしかしたら、自分にもできるかも!」

そう感じたら、まずはお気軽にお問い合わせください。

あなたが「自分らしく働ける」ためのサポートがここにあります。

安心できる環境で、新たな一歩を踏み出してみませんか?

就労継続支援B型事業所たきがわ笑店の利用者と支援員の女性

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