就労継続支援B型とは?対象者・仕事・工賃・利用の流れを京都・大阪の事業所が解説

就労継続支援B型(B型事業所)は、一般企業で雇用されて働くことが難しい障がいや難病のある方が、事業所と雇用契約を結ばずに作業に取り組み、その成果に応じた「工賃」を受け取る障害福祉サービスです。障害者総合支援法にもとづく制度で、年齢の上限や利用期間の制限はありません。

この記事では、B型のしくみ、利用できる人、仕事内容、工賃と利用料、利用開始までの流れを、京都・大阪で4つのB型事業所を運営する笑店グループがまとめました。制度の部分は厚生労働省などの公的資料(2026年10月時点)にもとづき、事業所での流れや通っている方の様子は現場のサービス管理責任者が確認しています。

「B型を利用できるのはどんな人か」をくわしく知りたい方は、対象者の記事「就労継続支援B型の対象者は?利用できる人の3つの要件」もあわせてご覧ください。

目次

  • 就労継続支援B型とは
  • A型・就労移行支援・就労選択支援との違い
  • B型を利用できる人
  • B型事業所の仕事内容
  • 工賃と利用料
  • 利用開始までの流れ(笑店グループの場合)
  • 利用日数・時間・在宅
  • B型のメリットと注意点
  • B型事業所の選び方
  • よくある質問
  • まとめ

就労継続支援B型とは

就労継続支援B型は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第5条に定められた障害福祉サービスのひとつで、「訓練等給付」に分類されます。厚生労働省は対象者を「就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される者」と説明しています(厚生労働省「障害福祉サービスの内容」)。

むずかしい言い方ですが、要点は次の3つです。

  • 雇用契約を結ばない。事業所と利用者は「雇う・雇われる」の関係ではなく、利用者は福祉サービスとして作業の機会と支援を受けます。そのため最低賃金のしくみは適用されず、作業の成果に応じた工賃が支払われます。
  • 自分の体調に合わせて通える。利用する日数や時間は、本人の状態に合わせて事業所と相談して決めます。週1回・短時間から始める方もいます。
  • 年齢の上限・利用期間の制限がない。就労移行支援(原則2年)や就労継続支援A型(原則65歳未満で利用を開始)と違い、B型には年齢の上限も利用期間の上限もありません。

全国の事業所数は16,295か所、利用者数は333,690人(国民健康保険団体連合会 令和5年4月実績・厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム資料)で、障害福祉サービスの中でもっとも利用者の多いサービスのひとつです。

A型・就労移行支援・就労選択支援との違い

「就労系」の障害福祉サービスには、B型のほかに就労継続支援A型・就労移行支援があり、2025年10月からは就労選択支援が加わりました。違いを表にまとめます(2026年10月時点)。

項目就労継続支援B型就労継続支援A型就労移行支援就労選択支援
目的働く機会と訓練(雇用契約なし)雇用契約のもとで働く一般企業への就職をめざす訓練自分に合う働き方を選ぶための評価(アセスメント)
雇用契約なしありなしなし
受け取るお金工賃(全国平均 月24,141円・令和6年度)賃金(最低賃金以上。全国平均 月91,451円)原則なしなし
年齢上限なし原則18歳以上65歳未満で利用を開始原則18歳以上65歳未満就労系サービスの利用を考えている方
利用期間制限なし制限なし原則2年短期間(作業体験を通じた評価)

就労選択支援は2025年10月1日に始まった新しいサービスで、作業体験などを通じて本人の希望・得意なこと・必要な配慮を整理し、B型・A型・一般就労などの選択を支える役割です(厚生労働省 障発0331第3号・令和7年3月31日)。2025年10月以降に新しくB型の利用を希望する方は、原則としてこの就労選択支援を先に利用することになりました。例外は次の節で説明します。

A型との違いをくわしく知りたい方は「就労継続支援A型とB型の違い」、就労定着支援との違いは「就労継続支援B型と就労定着支援の違い」をご覧ください。

B型を利用できる人

B型の対象は「通常の事業所(一般企業など)に雇用されることが困難な障がいのある方のうち、雇用契約にもとづく就労が難しい方」で、障害者総合支援法施行規則では次の3つのいずれかに当たる方と定められています(2026年10月時点)。

  1. 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが難しくなった方
  2. 50歳に達している方、または障害基礎年金1級を受給している方
  3. 1・2に当たらない方で、就労アセスメント(2025年10月以降は原則として就労選択支援)により、就労面の課題などの把握が行われた方

身体障がい・知的障がい・精神障がい(発達障がいを含む)・難病など、障がいの種類は問いません。障害者手帳がなくても、医師の診断書などをもとに自治体が必要と認めれば利用できる場合があります。年齢の上限もありませんが、65歳以上の方は介護保険サービスが優先される原則があり、自治体の判断になります。

要件の読み方、就労選択支援との関係、手帳がない場合、実際に通っている方の様子は「就労継続支援B型の対象者は?」でくわしく説明しています。手帳なしでの利用は「就労継続支援B型は手帳なしで利用できる?」、65歳以上の方は「65歳以上の年齢制限と利用条件」もご覧ください。

B型事業所の仕事内容

作業内容は事業所ごとに大きく違います。全国的には、部品の組み立てや袋詰めなどの軽作業、清掃、カフェやパン工房などの飲食、農作業、パソコンでのデータ入力などが多く、近年はパソコンやスマートフォンを使う作業を中心にした事業所も増えています。

笑店グループ(ふじのもり笑店・たけだ笑店・ふるかわばし笑店・ねやがわ笑店)では、パソコンを使う作業を中心に次のような仕事があります。

  • 動画編集。TikTokやInstagramのリール、YouTube向けのカット編集・テロップ入力・BGM挿入
  • SNS運用。企業やお店の公式アカウントのリサーチ・台本づくり・投稿
  • データ入力・リサーチ。企業情報の調査と一覧化、スプレッドシートへの入力、ネット通販の商品調査
  • デザイン。チラシ・SNS用画像・Webサイトの修正
  • 家電修理。動かなくなった家電の動作確認・分解・清掃・部品交換(たけだ笑店)
  • 不用品の回収・仕分け(ねやがわ笑店)
  • 軽作業

利用者の多くはパソコン未経験から始めています。くわしい仕事内容は「仕事内容」のページにまとめています。

たけだ笑店で家電修理を担当しているサービス管理責任者の浦に、利用を始めた方がどう進めていくかを聞きました。

浦 正和
浦(たけだ笑店 サービス管理責任者)

たけだ笑店の家電修理では、利用を始めた方にはまず、かんたんな商品の清掃から取り組んでもらいます。次に、はんだごての練習やマニュアルに沿った基本的な技術を覚えてもらい、そのあとで実際に届いた修理品をお願いする流れです。工具を使ったことがない方でも、段階を踏んで進められるようにしています。

B型事業所での1日の過ごし方は「就労継続支援B型の一日」、内職との違いは「就労支援B型でできる内職の探し方」も参考にしてください。

工賃と利用料

工賃(受け取るお金)

工賃は、作業で得た売上から経費を引いた分を利用者に分配するお金で、雇用契約にもとづく賃金ではありません。最低賃金のしくみは適用されず、金額の決め方(時給制・日額制・作業の出来高など)は事業所ごとに違います。

厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」によると、B型事業所の平均工賃は月額24,141円(全国18,245事業所の平均・前年度比106.6%)です。都道府県別では京都府が24,743円、大阪府が19,747円でした。A型事業所の平均賃金は月額91,451円で、雇用契約の有無による差は大きいです。なお、令和6年度(2024年度)の報酬改定で平均工賃月額の計算方法が「1日あたりの平均利用者数」を分母にする方式に変わったため、それ以前の年度の数字と単純には比べられません。

工賃は障害年金と同時に受け取れます。工賃の見方や生活設計は「就労継続支援B型の工賃・収入ガイド」、障害年金との関係は「障害年金とB型事業所の工賃」で説明しています。

浦 正和
浦(たけだ笑店 サービス管理責任者)

笑店グループの工賃は時給で、取り組む作業の内容とその生産性で時給を決めています。お支払いは1か月分をまとめて月額で、見直しは3か月に1度です。できる作業が増えたり、作業に慣れて生産性が上がったりした分を反映します。

利用料(支払うお金)

B型は障害福祉サービスなので、費用の9割は公費でまかなわれ、利用者の負担は原則1割です。ただし世帯の所得に応じて月ごとの負担上限額が決まっており、多くの方は0円で利用しています。厚生労働省「障害者の利用者負担」による区分は次のとおりです(2026年10月時点)。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満。収入がおおむね670万円以下の世帯が目安)9,300円
一般2上記以外37,200円

ここでの「世帯」は、18歳以上の障がいのある方の場合、本人と配偶者の所得で判定します。親と同居していても親の所得は含みません。グループホームや入所施設(20歳以上)を利用している方は、課税世帯なら一般2になります。くわしくは「就労継続支援B型の利用料はいくら?」をご覧ください。

事業所の収入と工賃の関係(制度のしくみ)

事業所が受け取る報酬(給付費)は、平均工賃月額が高い事業所ほど高く設定されています。令和6年度の報酬改定ではこの差が広げられ、令和8年度の改定(2026年6月施行)では平均工賃の全体的な上昇にあわせて区分の基準額が3千円引き上げられました(厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」令和8年2月18日)。利用者にとっては、事業所が工賃を上げる取り組みを続けるしくみになっている、と理解しておけば十分です。

利用開始までの流れ(笑店グループの場合)

B型は、お住まいの市区町村から「障害福祉サービス受給者証」の支給決定を受けてから利用が始まります。笑店グループでは次の流れでご案内しています。

  1. 問い合わせ。電話・メール・公式LINEからご連絡ください。見学だけ、相談だけでも構いません。
  2. 見学・相談。事業所の雰囲気と仕事内容を見ていただき、今の体調や希望する働き方を聞かせていただきます。ご家族の同席もできます。
  3. 体験。希望があれば、実際の作業を体験してから決められます。必須ではありません。
  4. 受給者証の申請。お住まいの市区町村の障がい福祉の窓口で申請します。書類の準備は事業所がサポートし、希望があれば窓口に同行します。2025年10月以降に新しくB型の利用を希望する方は、原則として就労選択支援を先に利用し、その結果を踏まえて申請する流れになります(50歳以上・障害基礎年金1級・就労経験がある方などは対象外)。
  5. 支給決定・受給者証の受け取り。市区町村の審査ののち、受給者証が自宅に届きます。すでにお持ちの方は、有効期間と内容を事業所で確認します。
  6. 利用開始。面談のうえ、サービス管理責任者が本人と一緒に「個別支援計画」を作成し、利用が始まります。計画は定期的な面談で振り返り、必要に応じて見直します。
浦 正和
浦(たけだ笑店 サービス管理責任者)

見学から利用開始までは、早い方で翌日、多くの方は2週間ほど、長い場合は1か月以上かかることもあります。受給者証をすでにお持ちか、これから申請するかで大きく変わります。

体験は1回来ていただいて、数時間だけ作業してみる形が多いです。2025年10月以降は、就労選択支援を受けてから利用を始めた方もいます。

受給者証の申請に必要な書類や注意点は「障害福祉サービス受給者証とは?」にまとめています。流れの全体像は「ご利用の流れ」でも確認できます。

利用日数・時間・在宅

利用する日数や時間に法律上の下限はなく、受給者証に記載された範囲で事業所と相談して決めます。笑店グループは平日9時から18時に開所しており、週1回・1時間からでも相談できます。体調に波がある方は、少ない日数から始めて、慣れてきたら増やしていく方が多いです。

浦 正和
浦(たけだ笑店 サービス管理責任者)

利用日数の増やし方は人によって大きく違うので、一概には言えません。一例ですが、最初は週2日・午後だけから始めて、3か月ほどで週4日になった方もいます。

通所が難しい事情がある方には、在宅での利用という選択肢もあります。ただし在宅利用を認めるかどうかは支給決定を行う自治体の判断で、認められない地域もあります。希望する方は、見学の前にお住まいの市区町村名を教えてください。くわしくは「就労継続支援B型でも在宅ワークできる?」をご覧ください。

B型のメリットと注意点

メリット

  • 体調に合わせて働ける。利用日数・時間を自分の状態に合わせられ、通院や体調の波があっても続けやすい
  • 生活リズムが整う。決まった日に通う場所があることで、昼夜逆転や外出への不安が和らいでいく方が多い
  • 工賃を受け取れる。金額は賃金より少ないものの、障害年金とあわせて受け取れ、「自分で得たお金」が自信につながる
  • 次の段階へ進める。慣れてきたらA型や一般就労をめざせる。支援員と一緒に振り返りながら決められる

注意点

  • 工賃は賃金ではない。最低賃金は適用されず、全国平均は月2万円台。工賃だけで生活費をまかなうのは難しい
  • 社会保険に加入しない。雇用契約がないため雇用保険・厚生年金の対象外。健康保険と国民年金は本人(世帯)で加入する
  • 事業所による差が大きい。作業内容・工賃・支援の手厚さは事業所ごとに違うため、見学して比べることが大切

B型が「居場所」として果たす役割は「就労継続支援B型が「居場所」となる理由」で紹介しています。

B型事業所の選び方

見学のときに確かめたいポイントは次の5つです。

  • 作業内容が自分の興味・体力に合うか(実際に作業している様子を見る)
  • 工賃の決め方と平均額(説明してもらえるか)
  • 利用日数・時間を相談できるか、途中で変えられるか
  • 通いやすさ(駅からの距離・送迎の有無・在宅対応)
  • スタッフとの相性と相談のしやすさ(面談の頻度、困ったときの窓口)

くわしい選び方と就労移行支援との比較は「就労継続支援B型事業所の選び方完全ガイド」をご覧ください。

よくある質問

65歳以上でも利用できますか?

B型に年齢の上限はありません。ただし65歳以上の方は介護保険サービスが優先される原則があり、65歳になる前からB型を利用していたかどうかなどで扱いが変わります。くわしくは「65歳以上もOK?就労継続支援B型の年齢制限と利用条件」をご覧ください。

障害者手帳がなくても利用できますか?

手帳は必須ではありません。医師の診断書や意見書をもとに自治体が判断します。精神障がい・発達障がい・難病の方で、手帳を持たずに利用している方もいます。手続きは「就労継続支援B型は手帳なしで利用できる?」で説明しています。

アルバイトと併用できますか?

法律上の禁止はありませんが、B型は「一般企業で雇用されて働くことが難しい方」のためのサービスなので、自治体によって判断が分かれます。利用を始める前に市区町村と事業所に相談してください。くわしくは「アルバイトとの両立はできる?」をご覧ください。

いつまで利用できますか?

利用期間の上限はありません。受給者証には有効期間(1年や3年など、自治体によって異なります)があり、更新の手続きをしながら続けます。「就労継続支援B型の利用期間に制限はある?」も参考にしてください。

途中でやめたり、ほかの事業所に移ったりできますか?

できます。利用契約は本人の意思で終了でき、別のB型事業所やA型・就労移行支援に移る方もいます。受給者証の内容変更が必要な場合は、事業所が手続きをご案内します。

まとめ

就労継続支援B型は、雇用契約を結ばず、体調に合わせて働きながら工賃を受け取れる障害福祉サービスで、年齢の上限や利用期間の制限はありません。2025年10月からは、新しく利用する方は原則として就労選択支援を先に受ける流れになりました。

笑店グループは、京都市伏見区のふじのもり笑店・たけだ笑店、大阪府門真市のふるかわばし笑店、寝屋川市のねやがわ笑店の4事業所で、パソコンを使う仕事を中心に、週1回・短時間からの利用を受け付けています。見学だけでも歓迎です。各事業所の所在地は「事業所一覧」をご覧ください。

参考資料・確認日

制度に関する記述は、2026年10月19日時点の上記資料で確認しています。制度は改正されることがあるため、最新の情報はお住まいの市区町村にご確認ください。

この記事の監修者

浦 正和

浦 正和うら まさかず

笑店グループ たけだ笑店 サービス管理責任者

保有資格:保育士/サービス管理責任者

障がい福祉の現場に約24年携わり、知的障がい・自閉症・精神障がいのある方の支援を経験。現在はたけだ笑店で、利用を考えている方との面談や個別支援計画の作成を担当しています。

監修範囲:事業所での支援・利用の流れ・障がいの特性に合わせた関わり方。制度・費用に関する記述は公的資料をもとに笑店グループが作成しています。

監修者のプロフィールを見る2026年10月 監修

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